2009年11月27日金曜日

不運

不運な一週間でした。

月曜日朝、自転車で人にぶつかって「ポークが曲がった」と怒られ、
月曜日夜、雨の中、自転車で派手に転倒し、
火曜日、自転車で車を避けきれず運河脇のフェンスに突っ込み(運河じゃなくて良かった)、
木曜日、自転車で交通違反のチケットを切られ、35ユーロの罰金・・・。

もちろん右足中心に痣だらけですが、幸い血は見ていません。

お、隣の部屋で「スラムドッグ$ミリオネア」観てますね。ヴォリューム大きすぎないかぁ?

2009年11月22日日曜日

シーボルト会

在蘭日本人研究者の会、シーボルト会に参加してきました。(2回目)

今日はデルフト工科大学で講師&客員研究員をされている方から、都市デザインの話。

「都市デザイン」というのは、都市計画と建築との中間領域なのだそうですが、
政策、文化(歴史)、技術が影響しあって現状があるという意味では、都市環境とメディア環境というのは、ひきずっている歴史の長さや物質文化からの影響の度合いから言っても、けっこう近いのではないか、という印象を持ちました。

そこに+αで理論や思想の影響が入るかどうかという点では、都市デザインのうち、工学的アプローチか社会科学的アプローチか、で違ってくるようです。

日本とオランダではいろんな点で対照的で、たとえば都市機能が東京に集中している日本と違い、オランダではRandstadといって、都市機能をアムステルダム、ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒトが分散して持っています。また、山地の多い日本では、自然に都市が発達する地域は限られるため、都市計画に関する規制は都市部にのみ適用されるけれど、オランダみたいにどこまでも平坦で、放っておいたらどこまでも都市になりうる国では、土地利用に関する規制は、ほぼ全域に適用されるようです。

ただし、全国法では手続きのみを決めて、具体的な土地利用規制の中身は市町村が自由に決めてよい。そして、その規制は、原案はもちろん専門家によって作成されるのですが、数字(建ぺい率や容積率)ではなく、具体的な「形」として提示することで、市民(素人)にも中身が分かり、だれもが意見を言える状態が確保されている。(そして、一軒一軒にチラシを入れて、こんな計画があるから、意見があったら言ってね、と広報する。実際、留学生フラットの私のポストにもチラシが入っていました。)

そうやって具体的な議論を積み重ねて、結果としてかなり詳細な規制(ここは自転車を置くところとか、ここの通りの建物の正面は通りと平行な向きじゃないとだめ、とか)が、各市町村レベルで決まっていくそうです。

オランダ人は、意見を言うのが好きですが、それ以上に広報上手、キャンペーン上手でもあります。 政策を分かり易く説明して、市民からのフィードバックを求めるのが上手。

たとえば、水について、オランダみたいな低地帯の国は常に水処理の問題がありますが、まずCMを打つ。キャッチフレーズは Nederland leeft met water (オランダは水と生きる)。そして3ステップで政策を説明する。そしてフィードバックを求める。日本でも、水処理について同じような取り組みがあるそうですが、「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」というやや分かりにくい名称で進められているそうです。

オランダでの積極的な広報と市民参加への対比として、日本の「セクト化」ということが挙げられていました。専門職だけが参加可能な議論によってことが進められていないか、ということみたいです。

そういえば、日本のお役所って「有識者」が好きだよな、と思いました。有識者はもちろんありがたい存在ですが、それが専門家の専門家による専門家のための政策議論に終始してしまっては、たしかに元も子もないですよね。こちらでは、専門家が作成した政策案は、市民の生活の視点からきちんと吟味され、修正を加えられなければ良い政策にはならないということが、専門家にも市民にも共有されているのだと思います。 (ただし、こっちにきて、一部の若いオランダ人からこの市民参加のプロセスをすっ飛ばせば、オランダはもっと迅速な政策判断ができるはずだ、民主主義がこの国をのろまにしている、政策決定は有識者によって行われた方がよいのだ、というような話も聞きました。市民参加の強い伝統を持つ国で、若い世代がそれ以外の可能性について考えるという現象も起きているのかもしれません。)

今日のお話自体は、「オランダが良くて日本が悪い」というのではなく、中立的な、「違い」としての説明でした。やり方の違い、市民の意識の違いはあっても、なんだかんだで日本もちゃんと規制して、緑の確保や災害への備えに努めている。

オランダから見ると、逆に、「雑多な都市環境」や「自然に更新される都市環境」(京都の古い町並みの中にちょっとづつ中層集合住宅が混ざり始める)、「個性的な建築物が許される都市環境」は、夢のまた夢、うらやましくもあるようです。

有意義な会でした。

2009年11月21日土曜日

Siva Vaidhyanathan

Google批判(批評?)の論客、Siva Vaidhyanathan。

暇なときに読むと面白い(し、何か書くときに役に立つかも?)⇒http://www.googlizationofeverything.com/

掲載記事のひとつ、Another Chapter: The many voices of Google より。

The struggle to speak freely on the global network of networks does illustrate the daunting challenges of forging a "global civil society," or a media environment in which citizens around the world may organize, communicate, and participate openly and equally by discovering and using reliable knowledge.

 この手前には、中国のインターネット統制の話が出ていて、この後ハーバーマスのpublic sphere の話へ移っていきます。そして、Googleが提供する検索結果は、ユーザーがどこからアクセスするかによって変わるんですよ、とか、アジア言語文化圏ではアルファベット文化圏に比べてGoogleの使用率は低いですね、とか、ロシアはジャーナリズムへの規制は厳しいのにインターネットに関しては緩め、、、というような話が続く。
 'forge'というと、なんとなく'forgery'のイメージで、「偽物を作る」みたいな意味かと思ったのですが、辞書を引くと「苦労して作る」という意味もあるみたいです。

2009年11月20日金曜日

Indie Bound イギリスへ

アメリカの個人経営の書店が協力して始めたIndie Boundというイニシアティブが、イギリスのBooksellers Association の2010年のマーケティングキャンペーンとして採用されるそうです。 ⇒
http://www.thebookseller.com/news/103517-booksellers-association-to-import-us-indiebound-initiative-to-uk-.html

amazonみたいな大きなオンライン書店からではなく、自分の地域の書店から本を買うと、こんないいことあるよ!と書いてあります。↓

どうして個人商店から買うの?
◇地域社会が潤うから:
- 100ドル自分の地域で使ったら、68ドルが地域社会に還元される。100ドル全国規模のチェーン店で使ったら、43ドルしか地域に残らない。
- 地域産業が活性化すると、地域に高収入の雇用機会を創出する。
- 支払った税金の大部分が購入者自身が所属する地域社会に再投資される。
- 地域で買えば包装や輸送がいらないからグリーン。
- 地域の商店はご近所さん。助け合おう。
- 個人商店は、個性豊かなコミュニティを育て、多様で選択肢の広い社会を実現する。

※適当に省いて訳してあるので、原文は、http://www.indiebound.org/indiebound-faqをご覧ください。


動きは書店だけでなく、ひろく地域の個人商店や消費者を取り込んで、成長しているようです。実際の買い物をオンラインでする場合は、Indie Boundのサイトから直接ではなく、Indie Boundのサイトで自分の地域の書店を検索して、その書店のサイトから買うしくみのようです。Indie Boundのサポーターである消費者自身がアフィリエイトとして若干の収入を得ることもできるみたいです。

ちなみに余談ですが、現在、米国の個人書店はamazonやWal-Mart社相手に戦ってます。⇒Independent Booksellers fight for their existance, if.book (23/10/2009)

日本語ではこちら⇒http://current.ndl.go.jp/node/15068

2009年11月18日水曜日

オランダ語デビュー!

本日、オランダ語デビューしました(祝)。
実生活の中でオランダ語を使ってみて、通じました。会話ができました!!!

記念すべき1フレーズは、
Ik wil graag een cafe. (コーヒーください。)
私:Ik wil graag een cafe.
店員:大きいサイズか小さいサイズか(書き取れないけれど意味は分かった)
私:小さいの(手話)
店員:何か食べ物はいらないか(同上)
私:Nee. (いらない)
店員: twee tien (2ユーロ10セント)引用
私:(支払う)
店員:Dankuwel(ありがとうございました)
土曜日に市場でのオランダ語デビューに失敗したあとだったので(オランダ語で話したら、「英語は話せるか」と聞かれた・・・)、嬉しいです。デン・ハーグのコーヒー屋です。
次は、日曜日にパンケーキ屋でトライしてみます。うひ。

2009年11月16日月曜日

transliteracies

Transcliteracy project というアメリカで行われているonline reading に関する共同研究のページへのリンクをリンク集に追加しました。

とりあえずざっと目を通したところで、何かに使えるかも?なペーパー↓
M. Bulger, Beyond Search:A Preliminary Skill Set for Online Literacy
http://transliteracies.english.ucsb.edu/research-papers/translit-bulger-onlinelit.pdf

R. Hudson & K. Knight, Social Book Cataloguing: Humanizing Databases
http://transliteracies.english.ucsb.edu/research-papers/social_book_cataloging.pdf

2009年11月15日日曜日

Google Settlement Amendment 続き

日本からの反応にこんなのがありました。⇒
電子ブック戦争 日本の敗北,池田信夫blog. part2

確かに、Wikipediaのページを敢えてオンデマンドで紙に焼くビジネスが成立してしまうくらいだから(個人的には、なぜそれを欲しがる人がいるのかよく分からないですが)、紙と電子で同じコンテンツを配布するっていうのは成り立つのかもしれないですね。

電子本の値段の設定は、利用条件によって価格を変えられるから、少なくとも総売り上げでは紙だけで配布の場合を上回るようにビジネスを組み立てていくことは可能なはずです。(といっても、「機関契約」でえげつない条件を非営利の公共機関や大学につきつけるのはどうかと思うので、出版社は公益と自社の利益のバランスに配慮した価格設定を考えていかないといけないのでしょう。?日本みたいに取次が入ると何か複雑になるのかな?)

個人的には、電子本になって欲しい本(重い本!)が電子本になっていない!!!!!のが腹立たしいところ。
オランダ出版史の授業の参考文献 bibliopolisとか、マニュスクリプトの授業の教科書のIntroduction to Manuscript Studiesとか、面白いんですが、重くて分厚くて、コピーをとるのも簡単じゃないので、家でしか読めないのです。読まなきゃいけない量が多いので、移動しながら読みたいのですが、携帯には200ページ程度のペーパーバックが限界です…。

2009年11月14日土曜日

Google Settlement Amendments

「平和に読書」の週末のはずだったんですが。

Googleとthe Authors Guild、the American Association of Publishersとの間で、修正和解案が合意に達したようです。後は、NY連邦地裁からお墨付きをもらえばよいみたいです。
日本ではこんな感じで報道されているようです↓
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20091114-OYT1T00830.htm
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111401000428.html

概要と全文へのリンクはここ⇒http://books.google.com/googlebooks/agreement/
(すぐに更新されてしまうのか?) "Read What People are saying about ..."のところにはいいことばっかり書いてある。

納得していないOpen Book Alliance のコメントはここ。(これはpermalink。)

これに対して、イギリスのthe Publisher's Associationは、けっこうハッピーな感じのコメントを出しています。⇒
http://www.publishers.org.uk/en/home/news/detail/index.cfm/nid/06614453-D887-4166-861BC6F134B85239 (PAが作成した修正案のサマリーはこちら

EUからは、まだコメント出ていないようです(調べられた限りでは)。
これまでのEUとGoogleとの関係はこちらのページのPolicy Summaryで追うことができます。

イギリスはどっちにも乗っかってて、ちょっとずるい感じ・・・。

2009年11月13日金曜日

Googleと図書館

(1)V.Waller, The Relationship between public libraries and Google: too much information, First Manday (07/09/2009) の中で論じられていること。
  • 公共図書館とGoogleの関係が次第に悪化していったのは、両者の'information'についての考え方の違いによる。
  • 公共図書館はinformationの中身を重視し、民主主義の実現のためにinformationへのアクセスを提供するのに対し、Googleはinformationをターゲットを絞った広告を行い、広告収入を得るためのツールと考えている。
  • 私たちがますますウェブに頼るようになるにつれ、すべてのものが(Googleのいう)informationになる。
  • 公共図書館は、Googleとは異なる自らのアイデンティティを再確認しなくてはいけない。
(2)ちなみにちょっと古いのですが、図書館のマーケティングの授業で参考文献になっているR.Darnton, Google and Future of the Books, The New York Review of Books (12/02/2009) では、「情報へのアクセスのコントロールという公共政策で決めるべきことが、民事訴訟で決まってしまったことが問題」と述べられています。(この記事は、ここ以外の部分の方が面白いです。ただし古いので、Internet Archive等の動きは視野に入っておらず、米国の本のデジタル化は、ほとんどGoogleによって独占的に進められることを前提にしています。)
(3)Googleと図書館といえば、Geoffrey Nunbergという人が 'Google Books: The Metadata Mess' というプレゼンをして、ちょっとした言葉のあやで、こんな反論を受けていました。 NunbergのFarewell to the Information age という論稿には、10月に提出したエッセイの参考文献として大変お世話になったので、ちょっと気の毒に思いました。

Internet Archive BookServer Project 発表 (2009年10月19日)

一応これも。参考程度。
B.Stein, The Internet Archive annouced BookServer Project, if:book (20/10/2009)

以下はこれに関連したcnet.newsの記事より抜粋↓

With BookServer, the Internet Archive is hoping that for the first time, consumers everywhere will be able to buy or borrow any text they want while leaving control over pricing and terms of such distribution in the hands of the content owners.

"The way Amazon is really screwing up the market, creating expectations around (lower) prices, is calamitous," McIlroy (Thad McIlroy, an electronic publishing industry analyst) said, "and very, very damaging to publishing." Essentially, Amazon is undercutting book prices and forcing publishers to make harder choices about which books to publish and how to edit them, he suggested. But now, with both Google and the Internet Archive on the job, Amazon may ultimately "be defeated by these two."

「プロ読者」

B. Stein, A unified field theory of publishing in the networked era, If:book より抜粋↓

Over time we are also likely to see the emergence of "professional readers" whose work consistus of tagging our digitized culture (not just new content, but everything that's been digitized and in all media types . . . . books, video, audio, graphics). This is not meant to undervalue the role of d.elicious and other tagging schemes or the combined wisdom of the undifferentiated crowd but just a recognition of the likelihood that over time the complexity of the task of filtering the web will give rise to a new job category.

和訳はマガジン航から。

e-poetry

"e-poetry"、 なんでしょう、これは・・・? テキストを埋め込んだメディアアート?
J.Baetens & J.V. Looy, E-poetry between image and performance: a cultural analysis, E-media studies

以下のページにも説明と作品が。
http://epc.buffalo.edu/authors/glazier/

このページからいろんな作品が見られます。
http://epc.buffalo.edu/e-poetry/

この人のは比較的、今の感覚で言う「詩」に近い感じです。
http://www.overthere.com.au/

2009年11月11日水曜日

デルフト公共図書館(+生意気言)

書架を取り去り、デジタルへ移行した図書館が話題になってます。⇒http://current.ndl.go.jp/node/15243

同じようなことはドイツやオランダでも起きていて、今週のHistory of Booksの授業で話題になりました。J.Riversの予言どおりにことが運ぶのか。

「書架のない図書館」には賛否両論あると思いますが、「ちょっとラグジュアリーで居心地のいい図書館」というのは大陸ヨーロッパではごく自然に目指されていることだと思います。

アメリカの様子が分からないのですが、以下の記事を読む限り、ちょっと違いそうです。
Visiting the Most Modern Library in the World, the Shifted Librarian (19/03/2008)

ここで紹介されているデルフト公共図書館は、こんなことをやっています。
Discover Innovations at DOK, Holland’s 'Library Concept Center'

ちなみに、'Library' というものについての基本的な考え方が、英米と大陸ヨーロッパではちょっと違う気がします。うまく言えないのですが、前者はDemocracyに根ざしているけれど、後者はHumanismに根ざしている。もちろん相対的なもので、お互いに影響し合って現在の姿があるのだとは思いますが。
もっと表面的なところでは、前者は開架式の伝統だけど、後者は閉架式の伝統だ、という違いもあったりします。

DemocracyでもHumanismでも何でもいいのですが、何かその社会に内在する価値をバックボーンに据えることで大きな動きが作りやすくなるということはあると思います。

「デジタル化」という流れは、ヨーロッパにいても日本にいても、技術の寄せ集めの中で進んでいくことに変わりはないのだと思いますが、ここにいると、どうしても「日本のバックボーンは・・・」というようなことを考えてしまいます。日本という単位で考えてしまうところがまた、私自身もアナクロニズムにはまってしまっているのですが。EUは、思った以上に偉大です。

KB(オランダ国立図書館)の連携プロジェクト

本日KB(オランダ国立図書館)のR&D担当の方から講義を受けました。

KBが関わっている国際的な連携プロジェクト(主にEUの枠)は、有名どころのEuropeanaをはじめ、いろいろ。

1.Mass digitizationに関わるもの
IMPACT

2.Digital Preservationに関わるもの
Planets(FP6の枠では2010年5月終了予定。その後British Libraryを拠点として成果は継続的に共有、改善される。)
KEEP (Emulation技術に係るプロジェクト)
PARSE.insight (研究データの保存に関する短期プロジェクト)

3.その他
DRIVER、Alliance for Permanent Access、Europeana など

なかでも、今日は特にIMPACTについて。
これは、図書館等のコンテンツホルダーによるデジタル化をスピードアップすることを目的としたプロジェクトだそうです。

どうやって?
  1. OCRの技術革新に対する企業のモチベーションを高めるために、複数機関が協力してデジタル化対象資料の'critical mass' を作る。
  2. デジタル化のノウハウを共有する。
スコープは?
  1. 1900年刊行以前の印刷本(Printed books)
  2. フルテキスト検索可能なデジタル化
技術上の課題は?
  1. マニュスクリプトの古い書体やレイアウトを引き継いでいる初期印刷本に対応可能なOCR技術の開発
  2. 古いスペリングに対応した辞書の整備
戦略上の課題は?
  1. パートナーの拡大。現在のところ、
  • 欧州各国の図書館
  • 言語の専門家(現在のところ英語、オランダ語、ドイツ語をカバー。フランス語、スペイン語、ポーランドの専門家を探し中)
  • IBM
  • ABBYY (ロシアのOCR会社) ※EU圏外のパートナーについては、EUが出資した分を、当該パートナーが所属する国がEUに払い戻す仕組み)
'Broader EU(チェコ、スロヴェニア、クロアチア、ブルガリアなど)' にもパートナーを広げたい。
とりあえず、以上。

2009年11月10日火曜日

Digital Single Market for Creative Content Online

EUの情報政策の根本には、'Digital Single Market for Creative Content Online' という目標があるらしい。(参照:EUROPA: press release)

Viviane Redingなる人物がキーパーソンと思われます(肩書きは、the EU Commisioner for Information Society and Media)。この人は、以前に「EUの電子図書館関連プロジェクト(枠組)」で紹介したi2010の策定にも関わっている人。

権利者にも配慮したデジタルマーケットの形成についてのレポート(2009年10月22日リリース)は、こちら

From Gutenberg to Google (by Sillingsberg)

久しぶりに日本のニュースをチェックしました。

From Gutenberg to Google の翻訳版の書評を発見⇒asahi.com

原著はこちら

Frankfurt Bookfair 関連の記事

2009年のFrankfurt Bookfair は、昨年より参加者の規模は縮小したが、目的意識が高く、積極的な参加者が多かったとのこと。某教授の「不確実な時代は終わった」と似たような発言もリポートされています。以下、The Bookseller news team, Frankfurt wrap: mood turns positive at the fair, Bookseller.com (21/09/2009) より抜粋↓

David Roth-Ey, director of digital business development at HarperCollins, said: "The tone of the conversation has shifted from 'should we be doing something digital?' to 'how do we implement it?'"

Frankfurt By Numbers

4/10/2009: 45,753 (- 0.8 %)
15/10/2009: 56,452 (- 4.0 %)
16/10/2009: 50,325 (- 5.3 %)
17/10/2009: 74,634 (- 4.6 %)
18/10/2009: 63,305 (+ 0.7 %)
Total: 290,469 (- 2.9 %)

e-book, e-reader について

メモ。

e-book、e-readerについてのポジティブな意見
J. Rivers, E is for e-magination, Bookseller.com blog (13/02/2009)

ネガティブ
Kindle gets poor grades at Princeton, if:book (29/09/2009)

どっちつかず
S.Birkerts, Resisting a Kindle, the Atlantic (02/03/2009)

2009年11月9日月曜日

オランダ出版史 1725-1830

以下、Koninklijke Biblioteek ed., bibliopolis: History of the Printed Book in the Netherlands, 2003による。オンライン版は、http://www.bibliopolis.nlを参照のこと。

基本的には斜陽期(lean years)。

この時期は、周辺国での出版に対する態度が寛容になったために海外からの需要が減った。フランス革命とナポレオンによる占領の影響を受け(1795年オランダ共和制崩壊)、技術革新のための余裕がないままに、産業革命に乗り遅れた。手漉き紙の品質では知られていたオランダだが、フランス、イギリスで紙の生産の機械化が始まると、紙の輸出量は激減。 ちなみに、オランダの出版業について残っているデータは少ない。というのも、共和国オランダでは強力な中央政府がなかったために検閲目的の記録の作成が行われなかったため。18世紀に関しては、ギルド及び地方政府の徴税のための記録、19世紀についてはフランス占領下のサーベイ(1810-1812)や特許に関する記録が頼り。

1.形状・レイアウトの変化
イギリスのBaskerville、フランスの Didot、イタリアのBodoniらによる新古典主義デザインの影響もあり、18世紀後半には、より余白の少ない、ぎゅうぎゅう字が詰まったようなレイアウトへ変化。装飾も激減。Lord Stanhopeにより、鉄製の印刷機が発明されると、より大きな紙への印刷が可能になり、標準的な本の形が、quartoからoctavoに変わった。

挿絵は18世紀は銅版画が主流、19世紀に入るとアクアチント、リトグラフなども用いられる。並行して木版画も。バロック調の華々しいものからロココ調のエレガントで優しげなものに。オランダ独特のリアリズム(写実主義)が挿絵にも見られる。

実用目的の本の製本は、ヴェラムと革紐によるものから牛革のものへ、また本の背と、背と表紙の接着部分のみを革装とし、表紙は厚紙で済ますものも出てくる。一方で、18世紀は豪華な装丁も好んで行われた。各主要都市がそれぞれのスタイルを展開し、特にアムステルダム版は大仰な装飾で知られ、突飛な組み合わせの材料や技術が用いられることもあった。巻末その他へのマーブル紙の使用が広まった。1800年頃を境に、本の背と本の本体との間に隙間ができる製本方法へ。(raised band, where the covering material was no longer glued directly on to the spine but to a pieceof cardboard, allowing the hollow back to come loose when the bookwas opened.)
この時期はまだ、本の持ち主が製本を依頼するのが通常だが、18世紀半ばには、publisher's bindingが登場。

2.生産過程の変化
ギルドの解散(1798年のconstitutionによる)。代わりにVereeniging ter Bevordering van de Belengen des Boekhandles (Association for the Promotion of the Interests of the Book Trade) が組織される(現在まで続く)。1821年に、'copyright' (19世紀初めには、主に出版者の権利として)のオークションを年1回までに制限する最初の規制を実施。(p.124b, 128-129)

出版業(Publisher)と印刷業(Printer)の分離。出版のための資本は、Publisher/Printer 自身による出資のほか、製紙業者から利息なし分割返済の条件で借り入れることができたが、次第に一括返済へ移行。出版業者はいくつか寄り集まって 'company' を結成し、より大規模な資本投資を可能にするとともに、海賊行為のリスクの低減を狙った。'publishing' が現代的な「出版」の意味を持ち始める。海賊行為への対策としてのsystem of priviledges からCopyright Act (25 January, 1817)による保護へ。(p.124a, 130-131)

学術書の初刷は250-500、一般書は750-1250、特に人気のタイトルは3000程度。雑誌の場合、採算を合わせるためには最低500。17世紀には本の値段のほとんどは紙のコストに由来するものだったが、次第に挿絵や著作料、翻訳等のコストが加わるようになる。 (p.133-134a)

「著者(author) vs 出版者(Publisher)」:1817年にオランダ著作権法制定。著者の権利が明文化される。 それまではライデン大学の教授陣等の一部の例外を除き、著者の権利は十分に保障されていなかった。

海外市場の縮小のため、オランダ語による国内向け出版に特化した出版社、新聞社が成長。 (18世紀にはラテン語に代わり、多くの学術・文芸書がフランス語で出版されるようになる。18世紀前半にはオランダで、ヴォルテール、ディドロ、ルソーらの著作が出版されたが、18世紀後半になると、フランスでも出版統制が緩和されたため、オランダで出版する必要がなくなった。18世紀半ばには、ラテン語による出版物は一部の学術書・古典等に限られるようになる。)1790-1800年に出版されたオランダの本の90%はオランダ語によるもの。

3.流通の変化

書籍流通の変化は大きかった。その理由は、長らく読書人口の増加のためと考えられてきたが、最近では、それに加え、書籍市場の低迷が販路開拓を促進したためとも考えられるようになった。

前時代の書籍の取引は主に物々交換によるものだったが、18世紀の第2四半期にはcommission tradingが成立。

書店の副業として貸本屋が登場(commercial reading and circulating library)。

古書市場が独立。

在庫処分のためのバーゲン。公開オークション(publich auction)の登場。

啓蒙主義の影響で、周辺国で検閲(censorship)が弱まるにもかかわらず、オランダは逆に強化される方向へ。法制自体には変化なし、ただし、より厳格に施行されるようになる。

2009年11月4日水曜日

中国のがんばり

たまたまこんなのも見つけてしまいましたが、すごいなぁ、中国⇒http://blog.livedoor.jp/jingdu_tushu_life/archives/51527384.html

あ、ディズニーランドも開園したんですね(BBC World)。

「なか身!検索」したいなぁ

出版史の授業、ようやく「18世紀中期~19世紀初め」というユニットに進みました。

この時期はヨーロッパでは啓蒙思想(enlightenment)やら「子ども」という概念やらが出てきた時期で、その背景の中で出版物の多様化が進んだとのこと。つまり、大衆向けの雑誌、新聞、趣味の本(ガーデニングや料理本)、入門書(「ニュートン理論入門」等)、辞書・事典類、架空の旅行記(ガリバー、ロビンソン・クルーソー)、それらの女性向けヴァージョン、児童書などが出てきて、読者人口の拡大に伴って「出版社」が成長してきた時期。

中でも、「子ども」の誕生、それに関連しての「よい大人」になるための「よい教育」への志向は、出版物に対するニーズの形成に少なからぬ影響を与えたとか。

ふむふむ・・・。

西洋の子ども観の変化は、学部生時代の教育思想史の授業のおぼろげな記憶でなんとなく想像がつくのですが、日本の子ども観て、そういえばどうだったんでしょう・・・?

オランダの図書館には関連する本がなかったので、買った方が早そうだ、とamazon.co.jpで検索。
近世以前についての本が少ない・・・。しかも目次を見る限り、ほとんどの本は子どもについての思想というより、制度の変遷の話になっていそうだ・・・。

平凡社の「日本こども史」というタイトルに、なんとなく興味を惹かれたのですが、いかんせん、本の中身がよく分からないので、海外から高い送料を払って、何日も待って、買う気にはなれませんでした。(ついでにいうと、日本の本は内容に比して値段が高かったんだ!というのがヨーロッパに来ての印象です。ヨーロッパは本は安いです。)

学生生活に本は必需品なので積極的に買っていますが、やはり中身を見ずに買うことはめったにしません。日本の本も、もう少しネット経由の消費者向けに中身を見せてくれると嬉しいのですが・・・。

人がこれだけグローバルに動き、日本語を理解する外国人の方も、ここヨーロッパですら、「思った以上に」いるようです。18世紀風に言えば、「日本語リテラシーは世界的レベルでは緩やかに成長を続けており、潜在的な読者層は拡大している」とでも言えるのでしょうか。・・・とにかく、海外からも本を買いやすくしてほしい、、、せめて、出版社自体のサイトを見れば、ある程度くわしい情報があるようになっていると助かります。

余談になりますが、フランクフルトのブックフェア、今年の特別招待国・中国の出版社は、大量の新刊本を展示して、ヨーロッパの潜在的な消費者のハートを直接わし掴みにしたと思います。日本からは、残念ながら、コミック系の大手出版社と、商談目的の一部の書店のみが出展、読者層の拡大に効果があったのかどうかは疑問です。

さて、「こども史」、どうしよう・・・

2009年11月2日月曜日

ラテン語の壁

とりあえずtranscriptionのうち、書き写す部分は終えましたが、ラテン語の壁・・・。
単語の意味が分からないので、句点法についての分析ができません。
オンラインのラテン語辞書だけではどうにもならんです。

ぼちぼち最小限のところは勉強しないとなぁ、ということで⇒イギリスの国立公文書館http://www.nationalarchives.gov.uk/latin/beginners/