2017年8月26日土曜日

ENUMERATE Observatory

今日は、ENUMERATE Observatoryについて書きます。Observatoryをなんと訳すべきか・・・。「観測所」や「天文台」と訳される場合が多いようですが、ここではEuropeanaの事業計画と遂行に不可欠な統計データを扱う「調査機関」です。

 ENUMERATE Observatoryのウェブサイトには、次のように紹介されています。

ENUMERATE Observatoryは、ヨーロッパの文化遺産のデジタル化、デジタル保存、オンラインアクセスに関する信頼できる統計値を提供する。独自サーベイのほか、既存データを再利用して統計値を集め、結果の分析と公開、また指標の開発や情報ニーズの調査を行う。

以下、ウェブサイトからの情報抜粋して紹介。

設立経緯

ヨーロッパの文化遺産に関連する統計は、確立した手法や集積の仕組みがなく、各文化機関はデジタル化への投資に対する戦略的意思決定を行うにあたって、依拠すべき信頼に足る数値がなかった。10機関によるコンソーシアムとして始まった、課題解決ネットワークENUMERATEは、デジタル化の進捗に関する統計データやナレッジを共有するヨーロッパ全体のコミュニティになった。

2007年から2009年のNUMERICプロジェクトの成果を引き継ぎ、2011年から欧州委員会の助成プログラムとして、2014年からEuropeanaの一部として継続されているENUMERATE事業は、ヨーロッパ内の文化遺産にかかる統計値を集約した点で画期的であった。英国のCollection Trustにおける文化遺産のデジタル化コストにかかる調査結果も取り入れ、 ENUMERATEは今後も統計手法の高度化、サーベイの実施、及びデータ提供プラットフォームの改善に取り組んでいく。

現況

現在は、Europeanaの一事業として、Collection Trust とDEN (Digitaal Erfgoed Nederland)が率いている。Europeanaという実践の場を得ることで、ENUMERATEの専門的知識が生きるという相互恩恵的な関係にある。

<主な活動内容>

  • ENUMERATEフレームワーク、文書、データプラットフォームの維持
  • 各国事務局との調整
  • 2016年にObservatoryの設置
  • 2017年にサーベイ実施(2011年から隔年実施。今回4回目。結果は翌年の場合も。)
  • 今後のサーベイに向けた調査、コンサルテーション

手法とマニュアル


本ドキュメントでは、全体を俯瞰した”high-level"指標と特定テーマを掘り下げるための指標が用意されている。high-level 指標の指標のミニマム・セットは
  • デジタル化資料の増加にかかるもの(需要)
  • デジタル化資料の利用にかかるもの(供給)
  • デジタル化のコストにかかるもの(経済的要素)
  • デジタル保存にかかるもの(サステイナビリティ)
の4領域20指標。

特定テーマにかかる指標は、たとえばローカルシステムにおけるメタデータの登録数などが例であるが、適用範囲はかぎられている。

また、統計に用いる標準語彙が定められている。

各国で、または国際的に行われている既存のデジタル化関連事業のモニタリングの仕組みの一覧。

サーベイ実施要領と結果

過去のサーベイの実施要領と結果が掲載されている。

ウェブサイトからの抜粋は以上。事業運営・継続についての説明責任を果たすためには、ちゃんとした数字があった方がいいのは明らか。意思決定に関わらないレベルのプロジェクトの従事者にとっても、「リアリティ」の中で事業遂行していくためにあった方がいいと思う。




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